多嚢胞性卵巣で苦労することも

今日は多嚢胞性卵巣症候群と診断されたHさんをお話していきましょう。
◆Hさんは初診で来院されたときはまだ20代後半でした。
フルタイムで働いていらっしゃる、イマドキな女性です。
とてもスリムでクール・ビューティという感じでしょうか。


PCOSの方は、どちらかというとぽっちゃり系、
という方が多いのですが、Hさんのようなスリム体形の方も
実はいらっしゃるのです。
共通するのは食生活の乱れですね。
食欲旺盛で、実際食べ過ぎな方が多いんです。
前回のGさんタイプの方は食生活を正し、
運動療法を取り入れることで、案外すんなりと
自然妊娠されるケースが多いのです。
ですが、Hさんのタイプはかなりてこずることがあります。
◆Hさんは食品関係の会社にお勤めで、お仕事柄、
同僚のみなさんが慢性的によく飲み、よく食べるという環境。
美食家が多いとのことでした。
グルメ、グルマン、ともに(-_-;)
環境がそんなわけで、Hさんも同僚との外食が多く、
勤務時間中も差し入れなどで甘いものを食べる機会も多く、
かなり危険な状況でした。
全然太らないのが不思議ですが、
胃腸は余り強くなく、それでもおつきあいでグルメ三昧でした。
食べ過ぎ・飲み過ぎだけでなく、ストレスもありました。
もともと神経質というか、気をつかうタイプでしたし、
精神的に落ち込むこともよくありました。
◆Hさんのパートナーの方も、体質的に「食」がらみで
問題が多いようでしたし、お二人で食生活を見直し、
体質改善を目指していただきました。
お仕事上のおつきあいは、ある程度仕方ないとしても
できるだけの努力をしていくということで。
ご夫婦はとても仲がよく、うらやましいほどのラブラブぶりでした。
週末はいつもお二人で楽しく過ごしていらっしゃいましたね。
◆ストレスについてですが、
どうも同僚で1人気の合わない方がいらっしゃるようで
そのことで非常に心が乱れることが度々ありました。
その人のことで気分のアップダウンが激しく、
お仕事帰りに来院されるときも、ストレス満載な日が
よくありました。
そう、ストレスです。
もともとの性質も、東洋医学的な診断でいうと、
肝臓タイプの方でしたし、神経質だったり
よく気がまわったりするのは、その兆候を表わしています。
そうしたタイプの方は、ストレスで気が滞りやすく、
身体への影響がきつくなります。
この方は、同じPCOSの方でも、Gさんとは別タイプ
なのです。
食を中心とした生活習慣が脾臓に影響しているだけでなく
ストレスから肝臓がやられているという状況です。
肝臓や、その系列の胆のうに影響が出ます。
ですので、肝臓、胆のう、そして脾胃という消化関連の
治療を合わせて行っていきました。
◆こちらのタイプの方は絶えず気血の循環が悪く、
そのせいで自然妊娠が難しくなるようです。
心身が安定しない、とくに”気”の乱れによって
自力では排卵が難しいのです。
そして、やはりアルコールや脂っこい外食の影響も
あるのですね。。。
Hさんは人工授精、そして体外受精へとステップアップ
されました。
まだ30代前半でしたが、なるべく早くお子さんを、
ということで治療に踏み切られたのです。
食生活を改善したり、趣味を楽しんだり、
少しずつですが手ごたえを感じるようになっていきました。
そして、何度目かのIVFで陽性が出たのです。
◆そこからが新たなスタートです。
つわりはあまりなかったのですが、
お仕事は続けておられたので、やはり負担はかかります。
また、お若いこともあって、どうしても無理しがちでした。
会社では、毎日お茶の時間があり、いただきもののお菓子で
おやつをする習慣があって、どうしても甘いものもやめられません。
腹痛や、不正出血がときどきあり、そのたびに安静が
必要でした。
なんとか赤ちゃんが無事に育ってくれるよう、
治療を続けました。
やっと安定期に入り、ほっとしたところでした。
資源ごみの収集日ということで古新聞を運んだのがきっかけでした。
不正出血がおこり、そのまま入院になってしまいました。
◆そして急きょ出産となり、超未熟児で赤ちゃんが誕生しました。
まだ7か月に入ったところでした。
NICUでの手厚いケアのおかげと、赤ちゃん自身の強い生命力で
少しずつ少しずつ成長することができました。
危険な状態でしたが、やっと生まれてくるはずだった予定日を過ぎ、
さらにもうしばらくして安定してからの退院となりました。
お父さんお母さんとなったお二人の献身的な看病があったことと
思います。
Hさんは、赤ちゃんがHさん夫婦を選んで来てくれたこと、
そして、危険な状態をくぐりながらも生きぬいてくれたことを
ほんとうに感謝されていました。
NICUのドクターや医療スタッフに支えられたことも
心から感謝されていたのです。
Hさんは最愛の赤ちゃんを授かっただけでなく、
大きな学びを得たようでした。
◆退院を前にして自宅を赤ちゃん仕様に準備する合間、
ご自身の治療のために一度来院されました。
Hさんはしばらくお会いしない間に
母として驚くほど成長されていました。
たくさんの涙を流し、眠れない夜を過ごされたはずです。
そのときは無我夢中だったとは思いますが、
振りかえってみれば、
すべてが貴重な経験だったのではないでしょうか。
早産はできれば回避したかった出来事でしたが、
尊い命は守られ、そして母になったHさんも
大きく成長されたのです。
祝福したいです。
ただ、Hさんのケースは結果としては「よかった!」のですが、
やはり妊娠出産は命がけの大仕事です。
最後まで気を抜かず、過信せず、慎重にいかなければ
何があるかわからないのです。
妊娠が難しいということは、ある意味、
身体は「まだ準備ができていない」ということです。
その時点で体外受精などの治療によって妊娠した場合、
リスクを伴うことを忘れてはいけないということです。
Hさんご家族の幸せを祈るとともに、
今後に活かしていかなければ、と強く思いました。
それでは、次回はメンタルの病気があったIさんのケースです。
どうぞお楽しみに!!
なお、患者さまのプライバシーを守るため、
登場人物の身辺情報などは若干変更しております。
ご了承ください。

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