不妊治療の経済面を知る
不妊治療って、いったいどのくらいお金が必要でしょうか?
答えは、幅がありすぎて簡単ではありません。
自力タイミング、つまり基礎体温をつけてタイミングをはかるという自分なりの妊活だと、プラスαの経費といえば排卵チェッカーや人によってサプリ、温活グッズなど、それほど大きな出費はありません。
クリニックを受診してタイミング指導を受けるとなると、保険適用もありますし、1ヶ月で1万円もかからないでしょう。
ただし、一通りの検査を受けてからになりますので、その検査費用は別途かかります(保険適応外の検査もあります)。
(ご夫婦ともにしっかりと検査を受けてくださいね)
次の段階に進んで人工授精に挑戦するとなると、保険はききませんが、多くても月5万円以内に収まるでしょう。
ところが、不妊専門の医療機関で体外受精に挑むとなれば、大きく変わります。
クリニックによって金額の違いがありますので、ここは調査や比較検討が必要ですよね。
幅がありますが、だいたい1ヶ月で30万円から50万円というところでしょうか。
もちろん治療の進み方によって変わってきます。
誘発方法や細かいところによっても違ってきます。
顕微授精や、男性不妊で精巣内精子回収なども必要となると、合計すれば100万円かかっても不思議ではありません。
最先端の治療や、卵子提供を受けるとなると合計で数百万円が必要です。
高齢不妊になればなるほど高度な治療が必要になったり、回数を重ねることになったりするのは覚悟しないといけませんね。
1周期でよい結果が出て卒業できるのがベストですが、なかなかそういうわけにもいかないのです。
43歳以上で妊娠率よりも流産率が上回るという統計がありますから、それだけかかってもよい結果に結びつかないこともあるわけです。
実際に40代で元気な赤ちゃんを出産するまでに1000万円以上かかるケースも珍しくないと聞きます。
これから治療を考えている方にとっては頭が真っ白になる数字かもしれません。
お子さんを授かってからの養育費用のことも考えると。。。
ライフサイクルに合わせた収支の見通しって、子どもの存在によって大きく変わるのですよね。
できたら、いくつものシミュレーションを計算しておかれるといいと思います。
何歳で子どもが生まれたら・・・その後の子どもと自分の年齢を追っていきながら、収入と支出を予測するのです。
もちろん、いつお子さんを授かるのかは未定ですし、1年ごとにずらして、何パターンも作ってみるといいですね。
その結果、2人目は難しいかなとか、ひょっとしたら妊活自体を断念してご夫婦の老後に備えようと考え直すカップルもあるかもしれません。
経済的な問題も少子化の原因となってしまいますよね…
それでも、いくつかサポートになる方法もあります。
うまく活用して負担を少しでも軽減できるといいですよね。
まずは「特定不妊治療費助成制度」
各自治体に申請します。
基本的には1回15万円の助成ですが39歳までに治療開始される方は合計6回まで。
40歳から42歳までに開始される場合は合計3回。
43歳以上だと助成対象になりません。
という具合に年齢によって制限があります。
また、夫婦の所得が730万円未満という制限もあります。
年齢が上がるほど所得も上がるでしょうし、助成を受けるチャンスは減ってしまいます。
各自治体で差があるようですし、随時変更もありますから、詳しくはお問合せのうえご確認ください。
そして、これは誰でもできる対策ですが、確定申告の「医療費控除」ですね。
クリニックや薬局で支払った医療費だけでなく、交通費も合算できますから、エクセルで一覧表を作って、領収書もしっかりキープしておきましょう。
(世帯全体の、不妊治療以外の医療費も含まれます)
金額に応じて所得税の還付が受けられますし、住民税も変わってきますよ。
なお、サプリなどは含まれませんが、鍼灸はOKです。覚えておいてくださいね!
それから数年前に不妊治療に特化した保険もできました。
一般的な三大疾病の保障にプラスして特定不妊治療の保障、出産の祝い金が受けられるものです。
ただし、加入してから2年以上経ってからの保障となりますし、1年以内の出産だと祝い金は出ないなど、すでに治療を始めている方には難しい面もあるようです。
結婚を考えている段階や、数年後に本格的な妊活開始を予定している方はメリットがありそうですから、検討されてみてはいかがでしょうか。
これも時代のニーズかと思うのですが、不妊治療をサポートするためのローンもいくつかあります。
こちらは特にご夫婦でよくよく検討されてご利用くださいね。
将来のことをしっかりお考えになって、決して無理なさいませんように。
このように経済的な補助を受ける方法がいくつかあります。
ご自分に合ったサポートが得られますように。
最後にお伝えしたいことは、お金さえかければ不妊治療は成功する、というわけではないということです。
お金をかけて手厚い高度生殖医療(ART)を受けても、身体がついてこないことはあります。
ARTに踏み切る前に、できるだけ身体の状況を正確に把握しておかれることをおすすめしています。
決してお身体の状態を無視してARTに頼ることがないようにお願いします。
東洋医学による不妊治療も併用することで、心身ともに妊活のサポートができます。
財政的な面から考えても、できるだけ早く良い結果を出すためにお手伝いできればと願っています(^^)/