不妊治療で親子関係は複雑化?

親子関係は、遺伝的なものと法的なものとは分けて考えるべきでしょうか。
血のつながり、情的な絆、社会的な関係性。
いざとなったら権利・義務が発生(または発生しなくて)
トラブルの原因にもなりかねません。
日本独特の「家」の概念や「血縁」へのこだわりは消滅していませんが、
いっぽうでは「夫婦」や「家族」の形や意識は変容しています。
内縁や事実婚、LGBTのカップルなど、多様なあり方が徐々に定着してきています。


東京の不妊カウンセラー養成講座後に質問の手が挙がりました。
「新宿2丁目の漢方薬局です。LGBTの方の相談が多いです…」
まさに、この問題は現在進行形で、待ったなしであることを
実感する出来事でした。
カップル(夫婦)、親子のカタチが多様化するなかで、
法的地位の確立が遅れています。
まず母子関係ですが、
分娩の事実、懐胎・出産といった自然的血縁関係が法的関係という
ことになっています。
ですが、卵子提供や代理懐胎においてはさまざまな問題が発生します。
ホストマザーやサロゲートマザーとその子の関係においては、
アメリカでも親権を争う訴訟が起きています。
国によって対応が違いますし、アメリカは州によって違うという
複雑さです。
日本では今後も“分娩者が母ルール”の立場を取ることと
なりそうです。
ただ、代理懐胎自体が日本では禁止になっていますので、
海外で実施するケースで今後も問題は出てきそうです。
養子縁組によって親子関係を結ぶことで救済するものの、
養子縁組という記録は残ります。
ドナーエッグによる懐胎の場合は、卵子提供者ではなく、
分娩者が母親です。
次に父子関係
「真実の父は母のみぞ知る」と言われますが、
父親は法的、つまり婚姻(嫡出推定)や認知によって成立するものです。
ただし、不妊治療における非配偶者間人工授精(AID)では、
父親になる者の同意があれば、子は嫡出子と認められることになっています。
特例法案では、遺伝的なつながりはないのですが、自分の子であることを
否認できない
、という規定が盛り込まれることになるそうす。
それから養親子関係ですが、こちらの分野は進展を期待したいです。
非血縁関係の養親子関係には「普通養子」「特別養子」があります。
「特別養子」では、養子と養子の実父母との親族関係が終了し、
養子は養親の戸籍に入りますが、戸籍上にその縁組が記載されます。
条件が厳しかったり、手続きが煩雑だったり、簡単に縁組が成立する
わけではありません。
それでも、不妊治療を卒業・断念する夫婦にとっては、
あるいはLGBTのカップルにとっても、
親として子どもを養育できるチャンスです。
社会情勢は法整備や手続き上の諸問題がクリヤされるのを待ち望んでいます。
法整備が不備な現状では、LGBTの方々が生殖補助医療を受けることが
難しいのです。
引き続き注目していきたい親子関係のあり方です。
不妊治療の発展とともに親子関係が以前より複雑化している現状に
追いついてない法整備の構築を急ぐことと、
当事者の心理的な支援制度を構築していくことが求められています。
またなによりも、“子の福祉と最善の利益の保障”が優先されるべきですね。
少し難しいテーマですが、悩んでおられる方は確実に増えてきています。
生まれてくる子どもたちの幸せを最優先していければいいですね!

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