不妊治療の決断とリテラシー
不妊治療をしていると、たびたび決断を要求される場面に遭遇します。
治療の行き詰まりや、そろそろステップアップの時期や、複数ある選択肢のなかで迷う時。
あなたはどうやって決断していますか?
少なくとも、パートナーの方とは情報共有して十分検討してから決めていますか?
それとも、決断の後に「通達」か「事後承諾」でしょうか?
お二人のお子さんに関わる治療なのですから、お二人で一緒に考えていただくことは外せません。
そこで問題になってくるのはお二人の情報量や理解度の差ですね。
最近話題の“ヘルスリテラシー”は不妊治療でも大問題です。
男性側が圧倒的に情報弱者になっているのは明白ですが、原因は関心が薄いのは言語道断とはいえ、もともとの(妊娠のしくみや身体のことなど基本的な)知識の欠落もあり、学ぶ機会も時間も持ててこなかったことが大きいです。
それはハンディですよね。
加えて、治療を受けている妻を間近に見ていて負担の大きさを感じるために、申し訳なさや遠慮、不安や恐れなどもあります。
まったく妻に任せっきりで、主に子どもを欲しがっている妻が気の済むようにしたらいいという意識の方々もいらっしゃったり・・・
それだと妻だっていちいち説明する気も起きなくなりますよね。
念願かなってお子さんが誕生すれば、ご夫婦の子ども、子育ての責任はお二人に平等にかかります。
男性が“父性”に目覚めるのがかなり遅めになるのは事実ですが、そこは不妊治療をするなら早めのダッシュが必要です。
妻任せにせずにがんばらないといけないところなんですよね。
ハンディがあるからこそ、自覚が必要なんです。
じゃないと、女性の孤軍奮闘では乗り越えられない壁が出てくるのです。
妊活は夫婦の関係をよりよくして子育てに活かし、お二人の人生をさらに充実させるためのチャンスになりますから。
男性よりずっと知識量は多い妊活女性も、リテラシーの観点からすると問題があることも。
日々妊活ブログを読みまくり、クチコミサイトも念入りにチェックしているだけに、かなり情報通ではあります。
ただ、ブログ情報やクチコミは“あやふや”な情報です。
例えば「私は〇×で妊娠できた!」とうたっていても、その方には拍手を送りたいですが、同じ効果が自分にも出るのか、再現できるのかというと疑問です。
その方と自分は別人ですし。
パートナーも別人です。
身体も違うし生活も違うし、何もかも違いすぎです。
だから、巷でいいと言われることを片っ端からやっていっても、なかなか当たるものではないです。
逆にマイナスになることだってあるのです。
それは勘弁してほしいですよね。
ですから、やみくもに何でも信じるのはリスクがありますよ。
妊活は膨大な情報を集めれば集めるほど成功するわけではなく、自分にとって必要な、正確な情報が手に入ればいいですよね。
(不要な情報はスルーするのもリテラシーです。)
何もわからないままに、医師の言われるままに不妊治療の流れに乗りっぱなしもよくないので、ある程度勉強は必要ですし、わからないことは医師をはじめ正確な情報を持っている人に尋ねていかなければなりません。
そのうえで検討して、自分が受ける治療を選択、決断していくことが大事です。
不妊で悩む方は藁にも縋る思いでいらっしゃることと思います。
だからこそ、普段から巷にあふれる健康情報に振り回されず、冷静な目を持つことが自分を守ることになります。
ご夫婦で足並みを揃えて、妊活情報を取捨選択しながらお二人にとってベストな決断をしていただけるよう願っています。