精液検査の結果に安心できる?
男性にとって精液検査を受けるのは勇気が要るとのことです。
平気な方もいらっしゃいますが、平均的にはかなりハードルが高い印象です。
もし結果が悪ければ男の沽券に関わり、プライドがズタズタになるとか。
多少良くなくても「これくらいなら」との評価で「セーフ!」と胸を撫でおろしたり。
その検査結果に満足してもいいのでしょうか?
一般精液検査の基準値は以下の通りです。
精液量: 1.5ml以上
精子濃度: 1500万以上
総精子数: 3900万以上
精子運動率: 40%以上
生存精子率: 58%以上
正常形態率: 4%以上
この基準値の数字にご自身の検査結果を照らし合わせ、なんとかギリギリでもクリアしていたらホッとしますよね。
下回ったとしても、「人工授精/体外受精なら、これくらいでも大丈夫ですよ」と言われて安堵したり。
でもほんとうに”大丈夫”なのでしょうか?!
基準値には「以上」とついています。
最低限度ということになると思います。
化学的に妊娠が成立するためには、男性の役割は極めて限定されています。
それはDNA、遺伝子を運ぶこと、これに尽きます。
ですから、いくら年齢が若くても、正常そうに見えても、DNAに損傷があれば妊娠は成立しません。
結果の値がギリギリセーフでも、精子が持ちこむDNA次第です。
検査値の数字では受精能もわかりませんし、肝心のDNAについてはまったく不明です。
精子は酸化ストレスに非常に弱く、ちょっとしたことでも傷ができてしまいます。
酸化ストレスというのは、「酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用」。
何がどう有害かというと、本来身体が備えている抗酸化作用をこの酸化作用が上回ると細胞が傷つけられていくことです。
酸化ストレスの原因は日常生活のなかにあります。
紫外線や大気汚染、タバコ、酸化された食べ物、過度な運動、そして心身のストレスなど。
こうした原因が活性酸素を大量に生じさせ、本来持つ抗酸化作用が追い付かなくなります。
DNAはこの活性酸素の影響を非常に受けやすく、妊娠を目指すなら、不妊治療を成功させるなら、できるだけ酸化を抑える努力をするべきなんですね。
でも、ギリギリでも「大丈夫ですよ」と言われたら、今のままでもOK!
という認識が定着してしまうと思います。
いやいや、もっと上を目指しましょうよ!!
精液検査の結果は日によって変動が大きいものです。
たまたま良い日があったり悪い日があったりします。
飲酒、睡眠不足や風邪など、さまざまな要因でも変わってくるそうです。
もう一度言いますが、DNAを送り込むという唯一の任務なのですから、精子にはできるだけいい仕事をしてもらいたいものです。
そのために、男性が日々できることは何でしょう?
活性酸素を減らし、抗酸化作用を高めること、ではないでしょうか。
「ギリギリ大丈夫」に甘んじているわけにはいきません。
生活を見直して、改善できるところは少しでも実行して継続していく。
そんな地道な改革でこそ、可能性は高まるのですから。
身体全体のバージョンアップが精子のバージョンアップにつながります。
検査の結果如何に関わらず、妊娠を目指しているのなら、男性側の努力も必要なのです。
そして、妊娠だけしたらいいってわけでもありませんからね。
その先のことも念頭に置いていただければ。
妊活は女性だけのものではありません。
必ずご夫婦で力を合わせて取り組んでいただきますよう、お願いしております。
この記事を読まれた女性でパートナーの方のことが気になる方、ぜひお相談くださいね。
当院は女性専門ですが、妊活カップルの男性の方にも土曜日のみ受診していただけますよ(^^)/