鍼灸で奇跡の妊娠
今日は鍼灸による不妊治療について、お話を進めていきましょう。
その方の体質を考慮した鍼灸治療、そして鍼灸だけでなく、
多方面からアプローチしているところを感じていただけたらと思います。
最初ですので、わかりやすいケーススタディがいいですね。
Aさんのケースです。
ご結婚されてすぐにでもお子さんがほしかったのですが
自力タイミングでは授からず、婦人科を受診。
話をちょっとはしょりますが、検査の結果、片側の卵巣に問題があり、
摘出手術を受けました。
また、どうにか排卵している反対側は卵管が詰まっており、
自然妊娠は厳しいとのこと。
体外受精に踏み切りました。
ですが、パートナーの方の検査結果も思わしくなく、
顕微授精に何度も挑戦するものの1度も陽性反応が出ませんでした。
かなり絶望的になって鍼灸院を受診されました。
もう子どもは諦めないといけないと思いつめていらっしゃいました。
初診の際も涙が止まらず、こちらももらい泣きしたことを
覚えています。
独身時代も子どもさんにかかわるお仕事をされ、子ども大好きという方。
しかもパートナーの方とお付き合いされるようになってから
ずっとお二人の将来のお子さんの夢を温め合ってこられました。
お話をしっかりうかがい、お身体を診せていただいたところ、
Aさんはかなり食生活に問題がある方だったのです。
それがお身体にも表われていました。
ご夫婦ともに甘いものが大好きで、食事がお菓子でもOK、
というくらい。
ケーキ食べ放題に通い、自宅でも焼き菓子を作り、
とにかくスイーツづくしだったのです。
また、焼肉やラーメンなど脂っこい食事も多く、
それ以外は炭水化物ばかり、野菜は少し、という食習慣です。
男性のほうはかなりきつい花粉症、アレルギー性鼻炎があり、
鼻は年中詰まっていて息がしにくい状態でした。
それでもバレンタインはチョコレートを食べまくり、
休日は趣味のうどんを手作りする、という日々だったのです。
Aさんは脾臓の働きが弱っており、
そのせいで水分代謝が非常に悪くなっていました。
余った水分は浮腫になるだけでなく、卵巣のう腫や卵管の詰まり
なども引き起こしていたのです。
同じような、あるいはもっとよくない食生活を送っていた
Aさんのパートナーの方は、その余った水分が熱化している
状態でした。
お二人にはまず食生活を改めていただくようお願いしました。
そのうえで鍼灸治療をしていくことになったのです。
水分代謝を促し、身体にたまった”湿痰”を追い出す作戦です。
そして、Aさんは「不妊」のことがものすごいストレスで
気がうまく流れなくなっている状態でもありましたので、
カウンセリングもしっかり行いました。
思いつめていた心をほぐすカウンセリングと心にも効く鍼です。
治療が始まって1ヶ月も経たずに、つまり2回ほどの治療で
なんとAさんは自然妊娠されていたのです。
妊娠判定を受け、クリニックでもかなり驚かれたそうです。
なにしろ自然妊娠の可能性はゼロに近いと言われていましたから。
「奇跡の子です!!」と感激しておられました。
傷つきがんじがらめになっていたAさんの心の枷がはずれ、
解放されたのです。
そのため、一気に身体が変わりました。
詰まっていた卵管が通ったとしか考えられないのです。
もちろん、スイーツもキッパリあきらめ、お野菜をしっかり
摂ってもらうようにもお願いしていました。
でもこれは、そんな即効で効果が出るものではないので
たぶん心のブレーキがはずれたことが一番大きいと思います。
だんなさんのほうはというと、やっぱり食生活はそれほど
改善されませんでした(^_^;)
あいかわらず花粉症はひどかったのですが、
やれやれ、彼女が妊娠されたので、治療はしばらくして
終了しました。
もっと体質改善してから終えたかったのですが・・・。
Aさんはツワリがひどく(この体質の方はひどくなることが多いです)
ツワリ時はかなり食生活が乱れてしまったのですが、
なんとか諌めたり励ましたりしつつも胎児優先の鍼灸を続け、
安定期に入ってからも臨月間際までずっと安産のための治療
(主にお灸です)を継続していただきました。
そして、月が満ち、予定通り安産で赤ちゃんは生まれました。
お二人の長年の夢がかない、私も安堵とともに、大きな喜びを
いただきました。
1つだけ付け加えるとすれば、赤ちゃんはご両親の体質の影響を
強く受けますので、生後アレルギー症状がかなり出ました。
妊活中から砂糖の取り過ぎには、くれぐれもご注意いただきたいです。
将来のお子さんの体質、そして乳幼児期の健康に関わることを
忘れずに食養生していってくださいね!
あまりにも早くよい結果が出たことに驚きつつ、
鍼灸の効果を確信することができました。
こんな極端なケースはめずらしいです。
すべてこんな感じだったいいんですけどね(^_^;)
それでは、次回はたいへんだったケーススタディでいきましょう。
どうぞお楽しみに!!
なお、患者さまのプライバシーを守るため、
登場人物の身辺情報などは若干変更しております。
ご了承ください。